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「猫はいい」
おじいさんはいきなり語りだした。
「私達には速すぎる時間を、ゆっくりにしてくれる」
このおじいさんも、同じことを思っていたのか。
猫がおじいさんを見つめる。おじいさんは猫を自分の膝に乗せ、頭を撫でた。猫は気持ちよさそうに目を閉じる。安心しているのだろうか。
「捨てられた猫って、保健所とかに連れて行かれると思ってた。でも、ここにいれば安心ですね」
「安心?」
「はい。おじいさんが飼ってくれるだろうから」
「そうだね。あんなところには連れて行きたくないな」
「だから、猫は安心してここにいるんでしょうね」
「いや、それは違う」
おじいさんは優しく否定した。
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