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  「猫も安心しているかもしれない。しかし、安心しているのは私のほうだ」 「何故?心配事でもあるのですか?」 「今じゃ世の中は人が簡単に死んでしまう。自分もそんな風に死んでしまうのかと、いつも不安だ。でも、猫は私に教えてくれるのだよ。今日車がどれくらい通ったか、明日はこれくらい車が通るだろう、とかね」 「頭の良い猫ですね。私とは大違い」 「はっはっは。頭は良くないよ。ただ、優しいだけだ。私も、そんな立場になりたいよ」  おじいさんの目は、温もりで満たされていた。  そこに不安の色も、悲しみの色も何もなかった。  私はそれから真っ直ぐ家に帰った。  まだ忘れられないおじいさんのこと。  おじいさんは、結局何が言いたかったのだろうか。まあ、きっと考えても私には分からないだろうけど。 あ、猫。 fin  
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