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『暴発☆田中花火(仮)』。私のあだ名です。みんなは私のことを略して田中と呼びます。
可笑しな名前ですよね。笑ってくれても良いんですよ?自分でも笑ってしまうくらい変ですもん。でも変なあだ名でも嫌いって訳じゃないんですよ。特徴的で誰とも絶対に被りません。私だけのオンリーワンなあだ名です。素敵ですよ。
つけてくれたのは幼稚園からの友達の『加藤あきな』ちゃん。明るくて友達多くてスポーツ万能、おまけに頭脳明晰・容姿端麗っていうんだから、スゴいよね?でもあきなちゃんってばなーんかちょっと変わってる。人にあだ名をつけるのもそうだけど、奇行が目立つことが多いんですよね。
んー、天才は得てして欠落しているものなんでしょうか?
それでもあきなちゃんは私の大切なお友達なのです。
「たなかー、たなかー、たなかー!」
いきなり私を大声で呼ぶのはあきなちゃん。やっぱりあきなちゃんって変。耳元でそんなに大声を出さなくたっていいのに。聞こえてますよー。
「聞こえてんなら返事くらいしなさーい!だから田中はいつまでたっても(仮)なのよぉ!」
あきなちゃんはばしばしと私の背中を叩いてきます。
ばしばしばしばしばしんばしん! 痛~。あきなちゃんは加減を知りません。何にでも全力疾走・直進主義の熱血人間です。
「花火みたいにどっかーん、って弾けて欲しいからイイあだ名つけてあげたのにー。いつになったら『暴発☆田中花火(真)』になるの?」
そんなこと言われても……。
(仮)→(真)に変化することなんて今知りましたよ。しかも変化基準ってあきなちゃん判断じゃないですかー。
「ええーい!つべこべ言わないの!ウチだって鬼じゃないんだから、基準ぐらい低く設定してあげるわよぉ!」
とは言われても何をすればいいか分からないよ。
「んとね、えっとね、うん?……よし、まずどっかーん、って言ってみなさい!田中花火どっかーん!」
えぇー……。
「えぇー、とか言わない!実践、実践、実践あるのみよ!」
無理言わないで~。ただでさえ声を出すのが苦手なのに。
「やれ」
怖いよ!なんで私を見下してるの!?そんな目で見ないでー。
もぉ、言えばいいんでしょう。あきなちゃんの眼力強すぎるよ~。
「……ど、どっかぁん……?」
「声が小さーい!それに疑問系禁止っ!」
新たに条件追加っ!?
「ど、ど、どかーん……!」
「どもらない!だけどちょっとは良くなってるよ!」
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