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「だっるぅ。もう嫌んなるよ、あの現国の内海。ウチに付き合って付き合ってってもう五月蠅すぎるー。自分の立場考えろーっての。ガキにガキはらませて何が楽しいんだか」
とんでもない独り言を大声で呟きながらあきなちゃんが現れます。もうこんなことは日常茶飯事なので私は気にもとめません。あきなちゃんって年上に異常にモテるんですよ。
「あれ、田中ってばおでこどうしたの?赤くなってるよ」
あきなちゃんが自分の額を指さしながら私に尋ねます。そこで私は今ここであったことを嘘偽りなくあきなちゃんに話しました。
「蛇ね。アイツはしっつこいわよ~。あと被害妄想激しいから気をつけるように」
それは出会う前に聞きたかったですね。
ん?あきなちゃんは蛇さんのこと知ってる?
「うん。元友達だからね。でもいい加減ウザくなってきたから切り捨てちゃった、えへ」
小首を傾げて舌をちょろっと出してはにかんだ笑顔を見せるあきなちゃん。たまに見せるこのあざとい表情が私を狂わせるのです。
それにしても思い切ったことをしますね。友達って切り捨てるモノでしたっけ?
「そうよー。友達なんて切り捨て可能で入れ替え可能なんだから。あ、でもでも心配しないで。田中のポジションに入れるヤツはいないから」
んふ。私はなんだか誇らしげな気持ちになります。あきなちゃんの側に居られるのだと思うと自然と口角があがってしまいます。
にやにや笑っている私の肩を誰かが叩きました。
「や!二人は仲良しだね!いつも一緒に居るよね!僕も混ぜてくれないかな!?」
とたんにあきなちゃんが壮絶に嫌そうな顔になったのを私は見ました。
良く響くバリトン。長身で紺のスーツを纏った男はネクタイをギチッと締め、まるでクールビズに反旗を翻しているかのようでした。
よくよく見ればその男は現国の『内海隆』先生でした。
「うわ、出たよ……。ロリコン戦士アブノーマルマン」
「は!それは酷い言いようだな!内申下げるぞ加藤!ははははは!」
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