友達の友達は友達という考え。

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「たまたまじゃ説明つかないことが色々起こってんのよ。例えば田中は野生の熊と素手で格闘して勝てる?」  いや勝てる訳ないじゃないですか。普通は逃げますよ。 「例えば田中は新幹線とかけっこして勝てる?」  勝てません。というかそんな考えすら浮かびません。 「例えば田中はスーパーコンピューターと演算能力の競い合いをして勝てる?」  相手は機械です。どこをどうしたって人間じゃ太刀打ち出来ませんよ。 「でもね田中。ウチはこの全てに勝った。完膚無きまでに叩きのめしてやった。信じられる?」  そりゃあきなちゃんの言うことだったら信じます。あきなちゃんって本当にスゴい人だったんですねー。あ、でも動物虐待はいけませんよ。 「はー。的外れなとこをついてくるね田中は。うん、大丈夫。心配しないで。熊さんはちょこっと小突いたら森に逃げ帰って行ったから」  それは良かったです。いくら負けないって言っても弱者を積極的に虐めるのは良くないことです。あきなちゃんにはそんな人でいて欲しくありません。  私のわがままでしょうか? 「ウチの新しい一面ってとこかな。まあ、新しくもないけど。ところで田中は超能力的なモノに興味ある?」  興味……ですか?  無いと言えば嘘になります。だって昔そんなマンガが好きでよく読んでましたから。 「ならさ、……目覚めてミル?」  そう言うやいなやあきなちゃんは正面から私の首に両腕を絡ませてきました。ふわり、と温かな陽の匂いが私の鼻腔をくすぐります。そして細っこい指でうなじのあたりをなでられ、  瞬間。  世界が**しました。  上下の感覚は失われ、身体は宙に浮き、人々はカラフルな彫像になり、太陽は青い光を注ぎ続ける異形と化していました。  突然の世界の変化に私はしばし呆然としていましたが、この劇的な状況であっても無意識的にあきなちゃんを捜そうとしました。  変化と共に私の身体は空高く浮き上がってしまったのです。故にあきなちゃんの姿も見失ってしまったのでした。  青い光が注ぐ蛍光ピンクの空を私はどうにかこうにか身体をよじらせて進みます。  あきなちゃん、どこ?  あきなちゃん、どこ?  必死の形相で空をもがいていると、背後から息を殺したような忍び笑いが聞こえます。  くすっ、くすくす。くくくくく。
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