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自分がもてる? そんなの思ったことなかった。 確かに告白されたことはあるけど、自分が好きでもない人と付き合って上手くいくはずがない。 だって自分の好きなひとはちゃんといるんだから… 『好きです。』 って一言伝えられたらどんなに楽だろう。 逆に好きな人には想いが伝えられず見守る恋しか出来ない俺は、今まで素敵な恋が出来ているとは到底思えなかった。 昼休みも終わり仕事に戻った5人。 オフィスにはパソコンを叩く音や電話が鳴る音が響く。 魁は得意先の電話対応に追われ、何か書類をめくりながら険しい顔で会話している。 隣では透ちゃんがパソコンに顔を近付けてにらめっこ状態。 どうやら、パソコンが言うことを聞かず、固まっているみたいだ。 目線を動かすと晃は軽快にパソコンを打ち込む音が聞こえ、鼻歌までもが聞こえるような快調ぷりが見える。 その隣には頭を抱えながら唇を尖らせ書類をペラペラとめくっている篤志くんがいる。 『う~…、こんなのわかんねぇよ…』 って、全く進まない仕事を前に拗ねてる姿さえも可愛いと思ってしまう俺は、もう末期症状なのかもしれない。
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