そして伝説へ

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前に海産物の養殖とか、ダイビングとかしてたときの同僚にSKってのがいました。 「おれ神戸と大阪でNo.2のホストやったから。街歩いたら周りみんな道開けて頭下げてたよ」 初めて会った瞬間にそんな話しを聞きました。 音速で嘘だと思いました。 どう見てもゾンビ化したタヌキにしか見えないもの。 「今夜クラブのイベントいこう。おれが踊ってたらみんな集まってくるから」 光速で嘘なのは分かりましたが、面白そうなので付いて行ったらやっぱりフェイクでした。 むしろフリースペースあけられてました。 ある意味期待を裏切らないことはリスペクト。 暇だったので男の黒人さんとエロダンスしてみたら女の子にも案外ウケました。 調子にのってやりすぎて若干引かれてました。 その内お口から不思議なにほひを醸し出す女の子と仲良くなりました。 その子と喋ってたら、スーパー空気だったSKが何やら耳打ちしてきます。 何言ってるか全然わからないけど、よく聞いたら「持ち帰っちゃえよ」的な内容でした。 なんかもう死んで欲しかったけど、仮にもSKは今日会ったばかりの年上です。 お口から不思議な臭いを放ってる女の子だろうと、おれはNOと言えないニホンジン。 「このあと飲み直そうよ」 「え?あー、観光だから明日帰るし……」 ナチュラルに秒殺でした。 外出たあとも一応儀式的に「また会ったら遊ぼうねー」と変わらぬ態度で接するおれはジェントルメン。 バイバイして彼女が角を曲がった瞬間にSKが叫んだ。 「なんだよ、クソ女っ!」 おれマジでキレた。 口から魚焼きグリルみたいな臭いを放っていても相手は女の子。 わざわざ後を濁して嫌な思いをさせたのは許せなかった。 と言うか、一言も会話してなかったSKがそのセリフを吐く理由が見あたらなかった。 「まっ、あんな女いくらでもおるわ」 さらに何故かおれに慰めの言葉をかけてきて、もっとむかついた。 ばぶっ 放屁するSK。 不覚にもこれは笑った。
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