第零話『二十一回猛士』

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「二十一回猛士」 吉田松陰が好んで使った号である。 「杉」と「吉田」という漢字を分解して 「二十一回」 と読み、死ぬまでには全力をあげて二十一回の行動を起こすという誓いである。 松陰は安政元年(一八五四)十一月の萩の野山獄中にて、 「猛を為すことおよそ三たび」 と言い、あと十八回残っていると言った。 松陰の三回の猛とは 一、藩の許可が下りるのを待てずに脱藩という形で敢行した東北旅行 二、浪人の身で藩主に『将及私言』を上書したこと 三、ペリーの軍艦への密航計画 その後、松陰は老中間部詮勝(マナベ アキカツ)暗殺計画をはじめ何度も猛を起こした。 しかし、十八回にいたる前に処刑された。 安政六年(一八五九)十月二十七日 享年 三十歳
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