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「あなたはおかしな人ですね。春夏冬秋」
「俺からすれば、閻魔様ほどおかしな人は見たことがないけどな」
「そうでしょうか」
「それ以外ないだろ」
これは、初めて出会ってから、一週間が経過した時の会話。
その時から俺は、映姫様の許で働くこととなった。
結局のところ、俺達は似た者同士だったのだと思う。
居場所を奪われた者。
居場所を見つけられない者。
多分、それだからこそ俺達は、最初こそあれだけ、拒絶しあったのだろう。
鏡、とまではいかないものの、だからこそ俺達は、好感にも似た親近感を抱いたのだろう。
自分のことを許せなかったからこそ相手を許せて、自分のことが嫌い過ぎたからこそ、自分じゃない相手を認めることが出来た。
傷の舐め合い、と言われてしまえばその通りなのかもしれない。
でも、今となってはそれで、良かったのだとは思う。
でも。
自分が許した存在を、他の誰かが許してくれるわけがなかった。
世界が、許してくれるわけが、なかった。
これは、そういう物語。
大袈裟でなく。
それによって。
世界が壊れるような。
そんな、物語。
幻想の残る郷で、俺と、映姫様と、本当の意味で『鏡』のような、『相似』のような存在が、例外なく巻き込まれる。
良い終わり方になるのか、そもそも終わりというものに良し悪しがあるのかはわからないが、終わりまでは、語らせてもらおう。
ここは幻想郷。
狂おしくも全てを受け入れる、忘れられた楽園。
住民ですらも楽園であるということを忘れた、楽園。
少しばかり前置きが長すぎた。
まあ、それでも前置きの役割が出来たのかどうかは、微妙なのだけど。
それじゃあそろそろ、ご覧になってもらおうか。
幻想となった存在の、末路を。
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