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というか、一応そういうのが俺の仕事なのだ。
名目上では補佐だからな。
誰の補佐をしているのか、というのは今は言わなくてもいいだろう。
どうせ、後で望まずとも、顔を合わせることになる。
「まあでも、喧嘩とかは無いな」
「無いの?」
「何も無ければ、別にする理由も無いだろ。割と仲良くやれてる方だと思うぞ?」
とはいえ、あれを仲良くと言って良いのかどうかは、正直なところ微妙なのだが。
単純に仲良く、というよりは俺の方が振り回されてる、という感じな気がする。
いや、勝手に俺が空回りしてるのか?
いやいや、それは無いな。
どちらかといえば、向こうの方が明らかに空回りしている。
もはや暴走だ。
「何よそれ。惚気?」
「……だから、何でそうなるんだよ」
「あーあ、やだやだ。良いわね、年頃の暇な男は毎日が楽しそうで」
妙におばさんくさい感じで、からかうように言った。
いつもは結構クールな感じだし、珍しいテンションだな。
「そんなんじゃねぇよ。仲良くはやれてると思うけど、あくまでもそこまでだろうし」
「そこまでって?」
「少なくとも、惚気れる程仲良くはないってこと」
なるほど、という言葉を発しながら、博麗は俺から視線を外した。
どうやら、この話はこれで打ち切りなのだろう。
博麗の少しつまらなさそうな表情が、それを物語る。
納得した、というよりも何だか、諦めたという感じだ。
「お茶、冷めたんじゃない? 容れ直す?」
もう面白いことはないと判断したのだろうか。
そう言いながら博麗は立ち上がり、俺の横に置かれている湯呑みに手を伸ばそうとしていた。
「あ、いや、俺はもう良いよ。というか、そろそろ出ないとまずいんだよな」
「あら、何かまだ予定でもあったの?」
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