第一章 幻想の現象

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 まったく、どうして神様はこんな奴に博麗神社の巫女をやらせてしまったのだろうか。  俺にはああ言ったくせに、こいつだって基本的にはいつも暇している。  それに、神に仕える身なのにもかかわらず、異常な程の金銭への執着がある。  金銭で信仰を表すというのはわからなくもないけれど、それにしては少しと執拗過ぎるように見える。  というかそもそも、こんなに寂れてしまった神社に神様なんていうものはいるのだろうか。  ……まあとはいえ、そんな巫女らしくない彼女には、常軌を逸した程の人望というものがある。  ここ――幻想郷と呼ばれるこの世界には、様々な種族が入り交じって生活している。  様々といっても、白人やら黒人のような、常識的に考えられるものではない。  例えばそれは妖怪だったり、幽霊だったり、さらには神様なんていう、現代社会では考えられないような者達だ。  そして彼女、博麗霊夢は主にそのような存在に対して、異様にして異常な程、幅広い人望を持っている。  この博麗神社は、幻想郷と常識の世界――所謂外の世界とを隔てる上で無くてはならない。  そのため、その責務を請け負っている彼女に、妖怪達は一目置いているのだという。  さらに、博麗はこの幻想郷における怪奇現象、所謂異変を解決したりもしているらしい。  でも、そんなことをしていたとしても巫女らしくないことに変わりない。  たしかに、幻想郷には無くてはならない働きをしていても、神社の活動はほとんどさっぱりらしいからな。  たいていは暇そうにお茶を啜っているか、掃除をしているか、生活費について嘆いているかだし。 「それにしても、ここまで何も無いと暇ね……。最近は大きな異変も無いし」  しみじみと空を見上げながら、博麗はそんなことを漏らす。 「異変は異変で面倒だけど、退屈よりは良い気がするわ。人間、退屈には勝てないってよく言うもの。まったくその通りだと思うわ」
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