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「はあ……。これまた、平凡に平凡過ぎる、平凡を極めた一般論ね。そういうもんじゃないのよ。まあ、参考までに、何がどう良いのかしら?」
「……なんか、酷い言われようだな。そりゃあさ、日常茶飯事で異変が起こってるような状態よりは、全然良いだろ」
「それはそうだけど、平和だと思うと皆、今の私達みたいに退屈だって考えるでしょ? そうすると逆に、ここの連中は面倒な異変を起こしたがるのよ。目的はあるんだろうけど、結局は平和に退屈した暇潰しに、ね」
「ああ、なるほど」
俺は実際に、そういった異変と呼ばれる程の大事件を経験したことがないから、よくはわからないのだが、おそらくそれは、博麗の言う通りなんだろうな。
何となく、ここに住む他の住人達のことを考えると、妙に納得出来る気がする。
……ん?
でも、それなら結局、退屈と面倒事は循環してる、ってことにならないか?
というか、この会話自体、意見が行ったり戻ったりで、結局何も進んでいない。
……酷い悪循環だな。
そりゃあ、雑談なんて、そんなものなんだろうけどさ。
「あーあ。それにしても、お金が無くて時間だけがあるっていうのは、本当に嫌になるわね」
「なら、働けよ。お前だって、異変を鎮めることだけが仕事なわけじゃないだろ?」
溜息混じりにうなだれる博麗に対して、俺は言う。
「働くって、何をどうすれば良いのよ」
「まあ、思いつく限りでは……お守りとか、御神籤でも作ったらどうだ? それなりに良い値段で売れるだろ」
小銭一枚でも喜ぶようなこいつには、それだけで十分な収入になると思う。
「はあ……。そんなの、とっくにやってるわよ」
「え? やってたのかよ」
まあ、たしかに神社なら、当たり前にそういうのを販売してるよな。
そうじゃなきゃ、俺もこういう案を思い付かない。
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