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何やらかさかさと乾いた音が近づいて来るのが聞こえる。
「今近づいて来てる敵は人じゃない…」
アイアスは目を閉じ、言葉を紡ぎ始めた。
その眉間にはシワが寄っている。
「かなり遠距離から操っているが、術師本人はこの場にはいない。これは依り代に人工的に造り上げた魂を込めたもの」
アイアスが説明している間にも、カサカサ、カサカサと音を立てどんどん敵が近づいて来る。
モニカは前を見据えたまま微動だにしない。
冷静な表情で瞳は鋭い色を湛えている。
二人の様子を見た、美沙の額から一筋の汗が流れ落ちる。
訳も分からないまま敵と戦うことになってしまったが本当に大丈夫なのだろうか。
依り代とか式神とか、さっき説明された魔術師とか。
初めて聞く単語ばかりで頭の中はぐちゃぐちゃだが……此処で戦わないと一生地球に帰れない気がする。
不安だらけだが、やるしかない。
決心してキッと前を見据えると、
「……来る!」
アイアスは一言言い、目を開いた。
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