事態を悪化させる方法

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「嫌な気配がする。アイアス、感じないか?」 「気配?」 モニカが道の先を睨み付けている。 アイアスはモニカをきょとんと見つめてから、彼女と同じ方向に視線を向けた。 「……本当だ、魔力を感じるね」 表情を硬くしてアイアスが告げる。 「やはりか……」 モニカが眉間にしわを寄せているのを見ると、固まっていた美沙がぴくりと動いた。 「ま、魔力…?」 再び顔色を悪くして尋ねる。 「うん…。ミサちゃん、ちょっと手伝って貰うことになりそうかも」 アイアスが硬い表情のまま答える。 手伝うって何を?と聞きたいところだが、二人とも表情が険しいので聞きがたい。 「やはり、敵か?」 モニカは道の先から目線を反らさずアイアスに尋ねた。 「うん…明確な悪意を感じるよ。これは、白魔術だね」 「おい、お前」 モニカは目線を合わさずに、しかし美沙に声を掛ける。 「は、はいっ!」 美沙が返事をすると、モニカはチラッと此方を見遣った。 「剣の扱い方はわかるな?」 「えっ、う、うん、一応剣道やってるから…」 「そうか、なら戦えるな。アイアス、剣を貸してやってくれ」 「分かったよー」 アイアスは自分の腰に差している剣を美沙に渡した。 「ごめん、突然だけど…一緒に戦ってくれるかな?」 戦うのか。 剣道はやっていても、勿論実戦などしたことはない。 自身は余り無い。しかし敵がいるようだから、自分だけ戦わずに守られるのも嫌。 美沙はしばらく考えたが、 「分かった!」 剣を受け取った。
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