01.ホットココアとあたし

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緑の多い公園。その公園の中央が半球を埋め込んだ様ななだらかな坂になっている。その隣にちょこんと頭みたいに小さな坂があるところから「カメさんのこうら」って呼ばれてる。 そのカメさんのこうらの上で、あたしは少し残っていたホットココアをぐいっと飲み干す。あったかい。 寒空の中で飲むホットココアが好き。寒さに冷えた手を温めてくれるし、ココアの甘さが心地いいから。 空き缶越しに臨める空。天気は、晴れ。雲ひとつない空を見るのって久しぶり。 目線を戻すと、少し離れたところに一人ぽつんと立ってる奴がいる。あたしの幼馴染だったりする。 そいつはタバコをぷかぷかさせながら、空を眺めてる。未成年のくせにタバコなんか吸って、このかっこつけたがりめ。 だから、「ゆーたん」って、力の抜けるようなあだ名で呼んであげた。 「……」 無視。振り向きすらしなかった。 「……かわいくないヤツ」 あたしはさっき飲み干したホットココアの空き缶を手にとって、思いっきりぶん投げてやった。 こんっ 乾いた音、ひとつ。 「あた」 痛がる声、ひとつ。 すごいコントロールだ、あたし。頭のてっぺんに当たったよ、さすが。 にしても「あた」だって。空き缶に当たって「あた」なんて言う人、初めて見た。笑える。 から、指差して笑ってたら、おでこにホットココアがぶつかってきた。
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