01.ホットココアとあたし

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「あた」 すごい、新発見。頭にホットココアくらうと「あた」って言っちゃうんだ。 「んなわけないだろ、ばーか」 とか言いながら、あたしの前まで来た。あたしはおでこをさすりながら立ち上がった。 「ゆーたん、ひどい。あたし、オンナノコ」 「ゆーたんって呼ぶな、オトコオンナ」 ささやかな抵抗。完成されたローキック。 「なにすんだよ」 「ゆーたんの心無い言葉にローキックしてあげたの」 「そういうところがオトコオンナだっ」 よーし、怒った。ヘッドロック。 「いたたたたたた」 「止まりません、勝つまでは」 「なにに? なにに勝つの!?」 「デリカシーのなさに決まってるじゃん」  そう言って、力を強める、あたし。世の中、弱肉強食。弱いものが食われていくの。力の強いやつがのし上がってく世界なのよ。 「って、誰が力任せの女だ!」 「言って、ない! 俺、言って、……ない、よ」  左手に力なく伝わる小刻みな振動。タップ。そこではっとするあたし。 「あ、ごめんごめん。つい」 何回か咳き込んで、それから何事もなかったかのように振舞い始める。滑稽だ、笑える。
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