00 過去

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ある雪の降る日の話 「奴を絶対に逃がすな。なんとしてもここで仕留めろ!」 既に廃墟と化した町に、若いスーツ姿の男の怒号が響く。 彼の周りには、迷彩柄の服に大型のライフルを持ち、つばのある帽子を深く被った兵士が50人程が、世話しなく動いている 「しかし、我々だけで大丈夫でしょうか?既に何人もの隊員が奴に」 一人の兵士が、スーツの男に聞く。その男は、焦っているはずなのに冷静にこう答える 「奴はもう限界だ。これまでによる戦闘での体力の消耗に加え、身体も既にボロボロだろう。そして…」 男がある一点に目線を向ける。兵士も釣られてその方向に視線を向ける 「奴はそこにいる」 それは一つの小さな家だった。家と言っても、既にボロボロで、その区別すらつきにくい程である 「建物を破壊しろ。奴を生き埋めにする」 男の合図と共に、兵士達が一斉に銃を構え、同時に発砲する。家だったものは崩れ落ち、瓦礫の岡となってしまった 「奴の死体を確認しろ。しぶとい奴だ。生きているかもしれん」 そうは言いつつも男は、勝ち誇った様に、歪んだ笑みをしている。だがその時、死体を確認しにいった、兵士の悲鳴が聞こえた 「はぁ……はぁ…はぁ…」 その場の全員の視線が、瓦礫の岡へと集まる。そこには、既に気絶した兵士と、朱黒い少し長めの髪に、漆黒の瞳をした少年が、立っていた
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