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「茜色の海中もとても素敵だったけど…わたしは夜の海が一番好きだわ。」
そう言ったのはアイリス。
「だってそうは思わない?わたし達は真珠石と共に生まれる。それなら、この海中を照らす阿古屋貝はわたし達の家族なのだもの。わたし達が生まれてくるずっと前から、見守ってくれているの。」
「そういう考え方もアリだね。でもアタシはやっぱり明るい、透き通った海が一番かな。それも朝の!朝日がキラキラーって反射して、眩しいくらいの。あぁ、朝だなって。『今日』が始まったんだ、ってそう思うんだ。」
「リリアらしいわね。」
「アイリスは―――、ちょっと意外だね。」
茶目っ気たっぷりにリリアは言う。
そうして夜の海の片隅で小さなクスクス笑いが響きあった。
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