『人魚姫』

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  「これは…絵本、かしら?一枚しかないけれど…ッ!?」 手に取った一枚のページの文字を何気なく目にして、アイリスは息を呑んだ。 『人魚姫』そう書かれてあったのだ。 「これって…リリアがいつも読んでる本、よね…。絵だって、同じだわ…。それに昨日はこんな場所には何も落ちてはいなかった…!」 昨日小長に呼び出されたアイリスは、そしてダランたちの予想通りに失せ物の依頼をしてきたのだ。 やっぱりね、と肩をすくめた彼女だったが、至急というだけあって失くした物は貴重品だった―――はともかくとして、それを探す際にこの場所も隈なく探したのだ。 「…あら、あそこにも、あっちにも落ちてるわ…。」 そうしてアイリスの手には数ページにわたる、絵本の欠片が集まったのだった。  
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