『人魚姫』

17/24

43人が本棚に入れています
本棚に追加
/266ページ
  「ダランじい…ッ!」 「アイリス…。だいぶ具合の悪そうな顔色をしておる。」 「アクアッ、ファング…が…ッ。」 余程急いで来たのだろう。 ダランの指摘通りアイリスの顔色は青ざめ、息もすっかり上がっている。 それでもダランに会えた事で緊張の糸がプツリと切れたのだろう、その場にへたりこんだ。 「少し休むがいい。…ワシも今朝方、見てきた。あれは…あの跡は―――南海で見たものと同じじゃった。暫くあの場所は立ち入り禁止となるじゃろうが…、小長殿たちの話では怪我人は居らぬそうじゃ。不幸中の幸いじゃの。」 怪我人は居ない。 その言葉にホッとため息をついたアイリスだったが、次の瞬間再び息を呑むことになる。  
/266ページ

最初のコメントを投稿しよう!

43人が本棚に入れています
本棚に追加