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そこまで考えて、いかん、ダランは首を振った。
アイリスには希望を持てと言ったくせに、自分は既に諦めてしまっているではないか。
大丈夫、リリアはきっと持ち前のとぼけぶりを発揮して、何かに夢中になっているのだ。
必死になって思い込む。
今すぐに、心当たりの場所を探してまわりたい。
だがそんな気持ちとは裏腹に、体は前を進むモモの後を着いて行く。
悲しいかな彼は年をとりすぎていた。
感情のみで動ける程、若くはなかったのだ。
そんな己に気付いてか、ダランはギリ、歯を食いしめた。
ギリギリ、ギリギリ、それはもしかしたら心が悲鳴をあげていたのかもしれない。
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