俺と俺。君と俺。

俺と俺。

　二重人格っていうのは、小さい頃に虐めや虐待等の行為にあった人がなりやすいらしい。あまりに辛い体験に『これは自分じゃないんだ。違う誰かなんだ』と思い込んで、別の人格が出来るとか。

　と、精神科医みたいなことを言ってみてもつまらないし何も解決しない。それに、俺はこの理論には手放しで賛成は出来ない。

　俺から言わせてみれば、二重人格なんてものは何がきっかけで出来るかなんてわからない。虐められたり虐待されたりしなくても、出来る奴は出来る。

　それが俺の持論。嘘だけど。

　なんで俺がこんなクソつまらない話をするのかっていうと、俺が二重人格者だから。これは本当。

　二重人格ってのは、なってみると中々大変だ。普通の時は面白そうとか思ったりしたけど、実際はそんな甘いものじゃなかった。

　まず一つの身体に二つの人格ってところが大変。身体は一つしかないのに人格は二つあるもんだから、いっつも身体の主権争いが繰り広げられている。

　まあ大体は俺が取るんだけど、隙あらば、って感じで気が抜けない。嘘だけど。本当はいつも気抜けてる。

　だから時々もう一人の俺に身体の主権を取られる。めんどくさい。