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うん。
今日もサラの入れてくれた紅茶はとてもおいしい。
幾度と繰り返されてきた朝の風景。
私が優雅な気分に浸って紅茶を飲んでいると、サラは音のたてずに私の背後に移動し、寝乱れた髪に櫛を通し始める。
「…ん」
心地よい。
こういう時間がいつまでも続けばいい。
もう二度と失いたくはない。
否―――失わせるものか。
過去の悪夢を思い出し、私は決意を新たにする。
「どうかなさいましたか?」
「いえ…ちょっと昔のことを思い出していたのよ…」
「そうですか」
顔に出ていたのかサラに心配させてしまったようだ。
私もまだまだだな…。
ああ、昔といえば…そうか。
もう二百年もたったのね…。
ふと頭をよぎる記憶。
私はその感覚に逆らわず、過去を思い返した。
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