貴女を想ふ

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  「花梨(カリン)殿ぉ!」 大きな声で呼んでいるのは、武田の若虎 真田幸村。 彼は、花梨と言う方を探し城内を走っているのだ。 「むぅ…何処に?」 幸村が庭に面した廊下に立ち寄ると、1人の女性が庭に咲いている"桜"を眺めていた。 幸村はやっと見つけました!と言わんばかりに、女性に駆け寄ろうとするが… 「幸村様!履き物を履いて下さい」 女中頭の"雅"に捕まってしまう。雅の声で幸村の方を振り向いて、近付いてきた女性は… 「…幸村様?如何したのですか?」 「か、花梨殿…某…」 「雅さん…席を外して頂けますか?」 「はい、では失礼致します花梨様」 雅が立ち去るのを確認して、幸村に視線を移し… 「幸村様、さぁ…如何したのですか?私で良ければ聞きますよ」 「花梨殿…」
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