第5章 「心をください。」

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「そういえば、姪御さんってなんで入院してたんですか?」 興味なんてなかったが、話をそらすにはちょうどいい話題のように感じた。 大井田はうん、っと頷いてから、淡々と話し出した。 だが、それは僕が思ったよりも辛い話で、それを話題にしたことを少し後悔した。 「姪は3年も意識が戻らなかったんだ。」 3年前、大井田の弟夫婦とその娘の乗った車が事故にあったのだという。 反対車線からトラックが突っ込んできたらしい。 トラックの運転手は居眠りをしていた。 両親は即死で、姪御さんだけが生き残ったが3年の間意識が戻らなかった。 「それが、ちょうど事故から3年目のその日に意識が戻ったんだ。」 大井田が嬉しそうに笑ったが、直後に僕を見て表情を暗くした。 それはルイを失った僕に気を使ったようだった。
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