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少しずつ近づいていく
その猫との距離…
近付くにつれて足が重くなる
とうとう
猫の目の前まできてしまった。
猫の特徴は
白黒、口の周りの黒い毛…
でん助と同じだ…
いやでん助しかいない。
私はでん助だと頭のどこかで分かっていても、認めたくない気持ちのが強かった。
「でん助?」
私はでん助の変わり果てた姿を見ても"死"を理解することなんて出来なかった。
「でんちゃん…危ないよ?起きて」
私はでん助の体を揺すりながら言う。涙はまだ出ていない。
そんな私を見ていたゴン太はでん助を加えて連れて行こうとしている。
でも今思うと私は凄く冷静だったと思う。
だってでん助は……変わりすぎてしまってたから…
左目は飛び出してる。
下顎は外れて、下の歯が飛び出していたんだ。
私は道路に車の姿が見えるまででん助の体を揺さぶっていた。
車が見えて私はでん助を抱き抱えゴン太を連れて家に向かった。
でん助を抱き抱えた時に
私はでん助の死を実感した。
もう前みたいに温かくないでん助の体。……私の心身を温めてくれてたでん助はもういない…
「ニャー」
と私に甘えて来る時の声…
もう聴けない…
大好きだったでん助はもういない
いない
いない
いないんだ!!
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