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【人魚】
あたしは人魚になりたかった
歌を愛する
自由なお姫さま。
海を自由に
飛び回る
まるで
海底の天使の様で。
ある日人魚は
恋をした。
決して結ばれることのない
人間の皇子に。
狂おしい気持ちを
歌にして
海は悲しく荒れ
風はその歌を
皇子まで届ける。
人魚は
声を引き替えに
人間になるが
結局
皇子とは結ばれなかった。
最後の夜。
人魚の姉達は
美しい髪と引き替えに
魔法の短剣を
魔女から受け取る。
『この剣で皇子の胸を突きなさい。そうすれば貴方はまた人魚にもどれるから。』
人魚は姉達から
短剣を受け取り
皇子の寝室にむかった。
けれど結局
人魚は
皇子を殺すことはできず
海に身を投げ
泡になって
空に還った。
海底で飛び回ｯていた時と
かわる事無く
今度は本物の
天使となり
空へ飛び立った。
愛するひとの
幸せだけを願った人魚。
美しく
清らかな
純粋な愛。
いつか
そんなふうに
彼を愛したい。
深い愛で
泡となっても
彼を包めるような
強い女に
なれたら･･･。
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