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私――フローラ・エル・ジャルバーン――はその日、地獄を見た。
あの時の光景はいまでも――いえ、いつまでも私の脳裏で何度も何度も蘇り、この精神を苛む。
――叫びたい。
――泣きたい。
――喚きたい。
――甘えたい。
――救いたい。
――助けて…誰か助けて…。
しかし、私を助けてくれるものなど一人もいはしないのだ。
いつだって私を助けてくれた人はもういない。
何故なら、その人は私の見ている前で奪われてしまったのだから。
永遠に失ってしまったのだから…。
私は今、地獄を見ている。
愛していたお父様。
そのお父様がただの血肉に変わり果ててしまう光景を私は見てしまったのだから………。
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