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その特徴を持つのはエルフか魔族のどちらかである。しかし、エルフは女しかいないため、必然的にその男達は魔族だということが分かった。
助けて――助けてください――誰かお父様を!!
私を強く抱きしめながらアルガットは強く室内を睨みつける。
まるで、何者をも見逃さんとするその顔に私は何も言うことができない。
悲しく、辛いのは私だけではない。
アルガットも幼少時にお父様に拾われ、私とは兄弟のように育てられたのだ。
私はアルガットを強く、強く抱きしめかえす。
しばらくした後、私はアルガットに連れられ、一旦外に出た。
そこで私は胃の中にあるものをすべて吐いてしまった。
「アルガット…」
「はい、お嬢様」
私はえずきながらも言葉を吐き出し。
アルガットはまるで私が何を言うか理解しているかのように目を閉じ頷く。
「あの連中は許しません」
「………」
しかし、私たちでどうにかできる連中ではない。お父様は私よりも高位の魔術師であり、アルガットにとっての体術の師でもある。
そのお父様がどうにもできなかった連中に今は歯向かった所でみすみす殺されるだけだ。
「まずは様子をみましょう」
「御意に…」
必ず…必ずお父様の敵を!!
私は胸に誓った。
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