フローラ

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「ふむ」 おおまかな話を聞きながら、俺はアルガッドに入れさせた紅茶を飲みながらため息を吐く。 フローラは唇を強く噛み締めながら瞳を潤ませていた。 だんだんと面倒になってきていた俺だが、とりあえず気になっていたことを尋ねることにした。 「今生きているジャルバーンは誰なんだ?」 そう。 これだ。 汚職で話題になっているジャルバーンとは一体誰なのか? それを聞くと、フローラとアルガッドの表情が苦虫を噛み潰したように歪む。 「二年前…私とアルガッドが一旦屋敷に戻った時のことです。お父様…いえ、お父様の姿を騙る魔族が私達を当たり前のように出迎えたのです」 「しかし、我々には対抗する術がなく、何も気づかないふりをして今日に至るというわけでございます」 「へぇ」 それは純粋にすごいと思う。 なにせ、相手は父親を殺した憎き魔族だ。 そんな相手と二年もの間共に過ごしてきたなど正気の沙汰とは思えなかった。 ――それほどまでに憎かったのか、もしくは…父親と同じ姿に幻影を見ていたか…。
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