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エリーゼは一方的に話を打ち切ると次々と指示を出す。ラウルは釈然としないものを感じながらも、指示に従うのだった。
その夜。
禁書図書室に一人の男の姿があった。
「どこかなー」
あれから何を考えていても、あの本のことが忘れられない。
気になって夜も寝られず、ラウルは危険を承知で禁書図書室に忍び込んだのである。
「ん?」
しばらく歩いていると、何かを踏んずけたような感触。
探ってみると、それはラウルが願い求めた勇者物語の原本であった。
ラウルは本を抱えると、素早く動き、一気に部屋のベッドのダイブする。
そして、改めて原本を眺めてみた。
タイトルは『魔王物語』
「魔王?」
勇者ではないのか?というラウルの至極当然の疑問。
しかし、そんなことは読んでみれば分かることである。
ラウルは生唾を飲み込み、そっとページを捲った。
-----それは勇者の物語。
-----それは魔王の物語。
-----それは一人の少年少女の物語。
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