vingt ～ヴァン 試作機2O～

第一章：こどく→

「データ、読み込み終了。」
シミュレーションで得たデータには色々な情報が含まれていて、対象との距離やその時の速度、必要とする弾数や殲滅までの時間等をシミュレータから機体へ一斉に送る事ができるのだ。
今ではOoBS(オービス)と呼ばれる、人の知能や性格を物体に移すシステムのおかげで、人工知能のプロセスを簡略化して記憶させたデータを取り出す事が容易になったのだ。
「バーを少し重めにしといてもらえますか？」
整備のおじさんに告げると快く引き受けてくれた。
パートナーがいれば、こっちとしても申し訳ない気持ちにならずに済むんだろうか。
微妙な疑問を抱きつつ、自室に向かいながら時計を見る。
少し時間をかけ過ぎたかな。
ぼそりとつぶやく頃には招集の時間も間近だった。