第一章:こどく→

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父は12年前に他界した。 アミの攻撃が最も激しかった当時、父はタンデム式二足型戦闘飛行機の大隊でリーダーを勤めていて、最終的に敵基地を壊滅状態にする事に成功した。 そこで敵勢力を抑えた事で今まで大規模な攻撃を受けずに済んでいるため、軍の中ではいまだに英雄と呼ばれている。 その父が亡くなる一年程前、緊急任務として地球の基地から離脱していた脱出ポットの確保に向かった事があった。 アミからの攻撃は激しく、ポットも全壊寸前だったそうだ。 しかし父の乗る機体は星の様にいる敵の中に飛び込み、ポットを抱きかかえて戦線から離脱した。 今思えばアマノ リョウというパイロットのスピードに満ちた戦闘スタイルは、この時点で決まっていたのかもしれない。 草原に咲く花々を揺らしていく風の如く、脱出船を抱えた機体は一本の筋を辿り、流れていく。
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