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愛読書を持つ手がわなわなと震えている。
君をほったらかしにして読書をした僕に怒ってるのかも‥。
ほったらかしにした事は謝りたいけどね、口より先に手が出た君に謝る気分にはならないよ。
「アタシの中の‥、よっちゃんはねぇ‥、‥‥」
一言、一言を区切りながら紡ぎ出す奈津美を睨み据え、後に続く言葉を待った。
怒るのは勝手だけど、先ず僕の愛読書を返して。
奈津美のわなわな震える掌で、僕の愛読書が、くしゃくしゃと悲鳴をあげてるよ‥。
あれれ、睨み据えてる奈津美の姿がぼやけてる‥、もしかして僕、マジ泣き寸前?
「Σ真っ白純白の処女キャラなんだからああああああ!!!」
「Σ真っ昼間、しかも学校の屋上で何言ってやがるッ!!!」
ビリビリ‥、
何の怒りか知らないが、てか、知りたくもないが、怒りに身を任せ、僕の大事な愛読・官能小説を破り裂く。
ちょ、おまっ‥、泣くよ?
ポーカーフェイスがカッコイイと憧れて、ポーカーフェイス気取ってる僕、泣くよ?
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