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ドスドスドス、
地を踏み締める足音が僕の部屋に近付いてくる。
どうやら僕には、二度寝をするヒマがないようだ。
ビシャッ、
力いっぱい開けた襖の音が、やけに頭に響く。
「おい、起きろ!」
ドスドスと、布団に包まる僕を蹴たぐる筆頭株主。
一応、女の子だからと、手加減をしているようだけど、
「痛い!
痛いじゃないか!」
「着替えろ!」
それだけ言って部屋を出て行った筆頭株主と入れ違うように女中頭の喜多さんが来た。
ダジャレを言った!とか思った人はいないだろ?
何か白い布らしき物を持って入って来た喜多さんは、僕を手招きする。
「政宗様とお出かけですよ」
「え‥、お、お出かけ!?」
喜多さんの前なら、鞄も牛若丸の布も必要ない。
僕の豆腐ハートを優しく包み込むおおらかな雰囲気を醸しだしているからね。
着物の着付けを知らない僕に変わり、喜多さんが着せてくれるのは嬉しいが、恥ずかしいな。
「可愛いわよ、夜一ちゃん♪」
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