消えた空

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松木の後ろ8メートルあたりを、Bクラスの走者が追走している。 Cクラスの期待が託された赤い鉢巻き。 アンカーという大任を背負う誇りと責任を乗せたバトンを、松木が運んでくる。 そして最終ストレートに入ってまもなく、松木の手から僕の掌に、重圧がズシンと伝わる。 その瞬間、僕は大地を力強く蹴り出した。 視界の周囲が溶けるように流れはじめる。 耳の周りには、空気の塊を切り裂く音がまとわりついていた。
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