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「…第一…真未ちゃんに足りない物なんてないよ…。大丈夫♪」
「…っく……っ…え?」
あたしは涙を拭うと、まだ名前さえ知らない男性を見上げた。
”あたし…名前言ってないのに…。何で…知ってるの?”
「何で…っ…何で…名前知って…」
「……ドジったなι…せっかく格好良く立ち去るつもりが…ι…あぁ…安心して♪ストーカーじゃないから♪…実はね、真未ちゃんに会った事あるんだ。」
照れ臭そうに言う彼を思い出そうとするが、なかなか思い出せなかった。
ただ何処かで見た事がある…程度。
会社の社員ではないし、近くのコンビニも違う。良く食べに行く定食屋や、彼の家の付近の人達とも違う。
「……恐らく…真未ちゃんは覚えてないよ。…僕は毎日のように君を見ていたけど。」
……毎日のように会ってる?
「……君がもし…僕を知ってたら…『運命』かな…って思ったんだ。…だけど君は悲しそうな顔で桜を見ていたから…」
彼は真面目な顔をしてあたしを見つめた。
「明日は笑顔になれるよ。きっと。……それじゃ。」
彼が立ち上がると、強い風と共に花吹雪があたしを襲った。
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