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『いやさ、馬鹿な事言ってるの自分でも充分分かってるんだよ、たださ、今の気持ちがそうなんだって』
「ああ、うんうん。まずはその今の気持ちを説明してみようか。」
呆れた顔で私を見つめる彼。
それは私が急に人気のない所にふらふらと立ち寄って、そして小さな水のない噴水の真上にいるのだから。
噴水には水が出る小さな穴がある。私の足元でキラキラと銀色に光るのは月が反射してるからだ。
『ん?あのね、うーん。たまにさ、現実って嫌になるじゃん?だからそん時はどっかに行ってしまいたいなぁって思うのよ。でも、こんなつまんない世界のどっかに逃げるよりは違う異世界に行った方が断然楽しいわけでしょ?』
「うん。まぁそれはわかるけど、なんで噴水の上?水の勢いで飛ばせると思ったか。とうとう頭が飛んだか。」
『ちょ、聞けや。ボケナス。誰もそんなこと考えてないから』
人を馬鹿にする彼の態度はイラッとするが、そんな彼はどうしようもない私を唯一見捨てないでくれるなんとも優しい人。例え毒舌だろうがサディスティックだろうが彼をちゃっかり愛してしまっているから嫌いにはなれないのだ。
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