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ガッカリとくだらなさが頭を巡るだけでちっとも楽しくはならなかった。まぁ当たり前ですけど。
とりあえず無駄に飛んでみた。ローファーとコンクリートでできた噴水はとんとんと音をたてるだけ。ありえないことを願った私に虚しさと切なさが包むだけ。
あぁ、逃げたい。
毎回、毎回つらいことがある度に私はどこか遠くへ、どこか知らない場所へ。現実逃避も良いところだと思うけど。
するとそんな思考から取り戻されるかのように、誰かが私の腕を引っ張る。
バランスを崩した身体は、少し高い噴水から落ちた。
別に倒れた訳でもなく、ただ噴水から降りてしまっただけ。
もちろんこんな所には私と彼しかおらず、腕を引っ張ったのは必然的に彼になる訳です。
『ちょっと。なにすん、』
文句を言おうとしたが、私の頭が腕の中で埋もれているため、口を思うようには開けなかった。
『ん、どーした?』
顔をあげれば今にも泣きそうな愛しい彼の顔が私を見つめていた。力強く抱きしめられた身体は少し軋むけれど、何よりも彼の表情が私の胸を痛めた。
「なんか、お前がどっかに行きそうな気がして」
弱々しく呟いた彼。
こんな表情見るの、何回目だろうか。私が時々こんな意味のわからない言葉や行動をするとき、彼は必ず不安そうで悲しそうにする。
『まぁ、冗談だよ。実際どこにもいけないのは分かってる。どうせここから抜け出せないんだから。』
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