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気まずかった五時間目も終わり、残すは帰りのホームルームだけになった。
けど…
その帰りのホームルームもぼーっとしてて、気付いたら終わってたって感じ。
今から部活か…
なんだかやる気しないなぁ。
しかしサボる訳にもいかず、しょうがなくコートに向かった。
ガチャ。
部室のドアを開け、中に入りトレーナーに着替えた。
ラケットとボールを持ち、コートに向かった。
パコン、パコン、
誰もいないので仕方なく1人でサーブの練習をした。
「フォーム綺麗だね」
!!!
フェンスの後ろで見てた夏喜が声を掛けてきた。
「べ 別にそうでもないよ」
いきなりの事に少し戸惑った。
「ごめん、邪魔しちゃったかな?」
「全然、大丈夫」
にっこり笑って、僕はそう答える。
「やっと見れた、有本君の笑った顔」
「え?」
「今日朝から全然見れてなかったから」
まぁ確かに…。
全然話してなかったし。
「一緒に打とう。こっちもまだ誰も来てなくて」
「うん、いいよ」
パコン、パコン
楽しい。
やっぱりテニスは楽しい。
心からそう感じた。
それから30分程度打っていたら部長達がきたから男女別れた。
だけど、練習の最中も夏喜と打ったあのラリーの事を思い出して、あまり練習に身が入らなかった。
その時!
「おい有本!!集中しろよ!」
三年の山本先輩が僕を怒鳴った。
今日怒鳴られっぱなしだな…。
そんな事を思っていたら、山本先輩が僕の方に寄ってきた。
ヤバい。
あの人ちょっと暴力的だったんだ。
がっ!!
予想通り胸ぐらを捕まれた。
「お前・・・ふざけてんじゃねえよ」
「すいません」
「俺達は最後の大会があるんだよ!わかってんのか!!」
山本先輩…口はキツいけど、一番部活の事を思ってると思う。
「テメェ…!」
!!!
ザザー。
山本先輩のパンチが頬に当たった。
男子の間に重たい空気が流れた。
しかし、それは女子にも伝わっていたみたいだ。
「有本君!」
心配した夏喜が僕のところに来てくれた。
「大丈夫?」
「うん…ごめん、ありがとう」
本当は大丈夫なんかじゃない。
結構モロに入った。
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