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口に手を当てると、舌から血が出ていた。
しかし、山本先輩の勢いは止まらなかった。
「おい、北川。お前なんで来た!女子のところに戻れ!!」
山本先輩は夏喜にまで怒鳴りつけた。
「有本君、今日体調悪いみたいなんです。ちょっとはわかってあげて下さい」
ごめん、夏喜。
そんなに心配してくれてたなんて……
それに比べて僕は……
殴られてしりもちついて。
今は好きな女の子に守ってもらってる…。
かっこわる。
そんな事を思っていた時!!
「早く戻れ………」
山本先輩がトスを上げて、サーブの構えを作った。
マズい!
「おい山本!いくらなんでもやりすぎだ!」
部長が止めようと声を出した。
しかし、今の山本先輩はそんな事耳にも入らなかった。
夏喜は縮こまって、手で顔を隠した。
僕は最低だ……
女の子を・・・好きな子をこんな目にあわせていいのか?
そう思った時!!
体が勝手に動いていた。
そして夏喜を覆っていた。
どぉーん!!
間に合った…。
「有本君?」
しかし、当たったところが悪く、僕はその場で倒れてしまった。
ボンヤリとした意識の中で
夏喜の声が聞こえた気がした。
有本君 有本君って。
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