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「おい!どうした?」
修哉が僕の頭を叩いてやっと目が覚めた。
「お前あの子に見とれてたな」
修哉は笑いながら俺に話しかけた。
いや…話しかけたと言うよりからかったと言った方がいいかもしれない。
「ち ちげーよ」
図星だったけど これしか言う事がなかった。
「名前何て言うのかなー?」
「わたし聞いてこようか?」
梓がもの凄い早さで立候補した。
しかし…
「 やめろよ!」
僕はつい大きな声を出してしまった。
「冗談! そんな怒んなよ?」
「別に怒ってないよ…」
そうこうしてる間に時間は過ぎていった。
「そろそろ座るか」
修哉がそう言いみんな自分の席に座っていった。
僕の隣はあの髪の長い女の子。「よろしく」
にっこりした笑顔を浮かべ僕に話し掛けて来た。
「うん よろしく」
僕も負けないくらいの笑顔で返した。
「さっきはごめんね ドアの前…… 通りにくかったでしょ?」
僕は無理やり話題を作った。
「ううん 大丈夫」
やっぱり彼女は笑顔で返す。
そこで僕はふと思った。
名前・・聞いてない
僕は思いきって言ってみた。
「名前何て言うの?」
途中声が裏返った気がした けど気にしなかった。
「わたしは・・・」
がら―……
!!!!
タイミングの悪い事に先生が入って来た。
「ごめん、また後ね」
「うん…」
チャンスを逃した。
僕はその時先生が大嫌いになった。
「え~ 担任の加藤です。みんな質問とかもあるだろうけどそれはまた後で。入学式に行くので廊下に並んで下さい」
加藤がそう言うとみんなは廊下に向かった。
加藤先生は歳は二十代ぐらいの爽やか系の先生だ。
「では出発します」
みんな一斉に歩き出す。
僕も歩き出す。
でもやっぱり目線は彼女に向いていた。
席で話してる時改めて思った……可愛い・・・。
そしてもう一つ……優しい。
今更になってさっき顔が赤くなっていなかったか心配になってきた。
そんな事を考えてるうちに体育館の前まで着いていた。
周りのみんなはすごく緊張しているように見えた。
そうやってキョロキョロしていたら彼女と目があった。
・・・
自分でもわかった。
完璧に顔が赤くなっている。
そんな僕を見て彼女はクスッと笑った。
恥ずかしい………
そう思って下を向いてしまう。
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