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「ねえねえ、そこの美人さん」
それは突然のことであり、聞き覚えのない声だった。
「ちょっといいかな?」
誰もいない学校の屋上。いつも通り、私はここで空を見る。綺麗な、空。そら。ソラ。
「ねえ、聞いてるの?」
それと同じくらい、綺麗な声が私に問い掛ける。だけど、話し掛けられる理由が分からない。だから、返事はしない。
「ああ、わかった。君は今、なんで僕が君に話し掛けるのか分からないから応えてくれないんでしょう?」
「……」
変な感じが、した。だって今まで、こんな風に話す人なんて――
「僕もこの綺麗な空、見たいんだけど。いいかな?」
――いなかったから。
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