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『獅童院』かぁ~。
むこうから離れたのは知り合いに会わないようにするためだったんだけど………。
運命は不思議なもんだなぁ。
まさか、あの人の妹がいるなんてねぇ………。
この学校は、入学式の後も新入生以外は授業をするらしく、うちのクラスも一限は数学の授業がある。
…さすが名門進学校。
いかにもな感じの先生が入教室に入ってきた。
「え~、このクラスの数学を教える、数川(すがわ)だ。よろしく」
数川は挨拶をし、色々と今年の授業予定を話して、さっさと授業を始めてしまった。
とは言っても、僕はまだ教科書を持っていないので、話を聞きながらノートにメモを取っていた。
すると突然、隣から声が聞こえた。
「ねえ、アンタ教科書無いの?」
その声の主は、先ほど「弱い奴には興味ない」と言っていた秋宮涼さん。
拒絶されたと思っていただけに、声を掛けられたのは意外だった。
「はい。今日はまだ準備が出来ていなくて………。明日には用意できると思います」
「へえ。じゃあ…
……今日は私の教科書見なさい」
顔をしかめながら言う秋宮さん。
………え?
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