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クラス中が騒ぐ中、僕は興味なさそうな女の子を見つけた。
その女の子は、流れるような直毛を伸ばし、ポニーテールにしてまとめていた。
きれいなのは髪だけではなく、彼女の顔も可愛い顔立ちだった。
幼さが残っているが凛々しい目付きをし、窓の外に向けている横顔は何かはかなげで美しい。
僕は、その子をただ純粋にかわいいと思った。
「んじゃ、皆、超可愛いミライと仲良くしてくれよ~」
ふざけて言う宇野俊也先生の声。
………。
僕は女の子から視線を外し、宇野の近くまでニコニコ顔で行き、クラスメイトに分からないように宇野の耳元で言った。
「おい俊也、俺は理事長にキツく言われてるから我慢してやるが、今度なめた口聞いたら殺すぞ?」
宇野は少しだけビクッとしたが、体勢を整えて言った。
「わーったよ、悪かった。気にすんな」
反省の「は」の字もない宇野。
ミライはため息を吐きながら宇野を見る。
「宇野先生、僕をあまり挑発しないでください。あの性格になりかけたじゃないですか」
「嫌なのか?」
「別に嫌じゃないですけど、僕は平穏に暮らしたいんです」
ミライは切実な願いを言った。
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