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声の主は、僕が竹刀を払った女の子。
「クラスじゃあんまり目立たないけど、ミライ君すごい運動神経だね」
その子は笑顔をこちらにむける。
ごめんなさい。同じクラスらしいけど、未だに覚えていません。
たった一回、みんなに自己紹介されただけで覚えろというのも無理な話だけどね。
その声をきっかけに、ミライを襲おうとしていた目の前の集団が、標的のミライを放置して各々で騒ぎ始めた。
「そういえば私、一回戦であの人見たよ?地味なんだか派手なんだか分かんないプレースタイルのバスケやってた」
「あ、それ私も見た!なんか休憩時間にめちゃくちゃスリーポイント決めてたよね?」
あ……あれ見られてたんだ。今更ながら大丈夫かな?僕の身元まで感付く人がいないといいんだけど……。
「あ、そういえばダンクとかしてたよ?」
「は?ウソー!?あの身長でそんなことできんの?もう人間業じゃねーじゃん」
その評価は誉めてるのか貶してるのか微妙なところだよね?
当事者をほったらかしにして話に花を咲かせる女子にミライは呆れ顔。
前に仲良く話していたレディースの人たちとは雰囲気も話し方も全然違う。対応に困るのは必然だろう。
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