勇気の守護神(仮)

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 秋になり、ようやく過ごしやすい温度に気温が落ち着いてきた頃。  今日のスタジアムも、日曜日で休日だと言うのに、相変わらず空席が多かった。応援団の歓声は大きいが、それでも個人の声が判別できるほどの閑古鳥の鳴きようである。 「ああもう、なんでこんなにリリーフは扱いが悪いんでしょうかね」  ブルペンの椅子に座り、新聞を読みふけている三島が悪態を吐いた。最近、ロングリリーフとして再び結果が出始めた中堅投手で、端正な顔立ちと抜群のスタイルもあってか、実績以上に女性ファンからの人気を博している。 「仕方ないさ。でも、そろそろお前も勝ちパターンに組み込まれるかもよ」  励ますつもりで言うと、三島は気を緩めたように気だるそうな顔をしながら、呻くようにこう口にした。 「早く先発に戻りたいです。そしたら、勝ち投手としてお立ち台に上がったり、新聞で取り上げられるのに」
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