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「先発しても、まずは試合を作らないと意味が無いだろ。ノックアウトされて負け投手になったら、逆に恥をかくじゃないか」
三島は、当初こそ最速百五十キロのスピードボールを投げる先発として期待されていた。だが、近年ほとんどの試合で序盤にノックアウトされるのを何度も繰り返すうちに、先発としての登板はめっきり減ってしまい、現在の立場になっていた。
「試合は作れますよ。去年は五回三分の一を三失点にまとめて、あと一歩でクオリティ・スタートを満たせたんですから」
その試合は、三島にとって去年唯一となる白星を挙げた試合だった。
たまに先発しても、チャンスが少ないから萎縮して上手く腕を振れずに制球が乱れる。追い込んでもカウントが悪いから、ただでさえ腕を振れない為に落ちないフォークを投げにくい。そうぼやくこともあったが、そんな考え方が伸び悩む原因なのではと思えて仕方がない。
「緑川さんはいいですよね。抑えだから、セーブを挙げる度にニュースや新聞に名前が載りますし」
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