勇気の守護神(仮)

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 僕自身チームの抑えとして、今季既に二十九セーブを挙げていた。あと一セーブでシーズン三十セーブの大台に乗り、それと同時に昨季から積み上げたプロ通算五十セーブと、区切りの数字にもなる。  こんなチーム状況で、バッシングや非難をチーム内外から受けているのが、佐藤監督だった。  なんとか継投制などには順応したものの、時代錯誤な練習や戦術で選手達に不満を募らせている。  更に言うと、現役時代に通算二百勝を達成したこともあってか、非常に頑固。何度も失敗している状況でエンドランを仕掛けたり、結果を出していない選手でも気に入っているなら使い続けたりする上、口下手でマスコミとも上手く行かないなど、チーム内外に敵は多い。  だが、佐藤監督のおかげで僕は抑え投手となり、今の地位を築いているのも事実だ。そのきっかけは、去年の佐藤監督就任初年度の出来事だった。
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