勇気の守護神(仮)

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 そのシーズンの前年。チームは最下位と低迷し、救世主と期待されていた青年監督の萩原監督が解任され、十歳以上年上の佐藤監督が急遽就任した。人伝に聞いた話では、あまりのチームの衰退ぶりに、他の候補者は揃って就任を拒んだらしい。  秋季キャンプから本格的に合流した佐藤監督は、早速投手陣に、ウェイトトレーニングではなく今までの数倍もの走り込みを課した。 「投げ込みも必要だが、肩は消耗品であり、長期的に考えると走り込みのほうが大事」  そんな方針は、全くチームに合わなかった。  あまりに走り込みの量が多すぎ、主力投手である森島さんが、投げ込みを直訴。 「走るのが嫌になるまでやったのは、頑張った証拠。よくやった」  何故か笑顔でそう言い、投げ込みの量が増えたが、数日後には何事も無かったように、走り込み中心のメニューに戻っていた。
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